眼球摘出サンプル Ocular pathology

眼球摘出組織は、病理専門医の手により肉眼観察、肉眼写真撮影、採材が行われ、報告書には組織学的検査に加え、眼球内部の肉眼所見および肉眼写真が添付されます。

眼球摘出後のサンプルの扱い

  • 病変が存在しないのであれば、眼球周辺の軟部組織は取り除いてから固定してください
  • 糸などで、解剖学的な部位(例えば内側vs外側、頭則vs腹側など)が指定してあると、検査の時に役立ちます
  • 角膜切除サンプルなど平たく薄いものは、プラスチックのような板に張り付けて提出してください(当センターでは、固定による収縮を防ぐため皮膚などの平たいサンプルは木製の板や厚紙に張り付けて提出する方法を推奨していますが、角膜など眼球のデリケートなサンプルは、剥離の際に破壊される恐れがあるので、荒い表面の素材は用いないでください)

固定方法

  • ホルマリン固定
    一般的なホルマリン固定で十分な観察ができ、第一選択の固定液です。組織があまり固くならないため、眼球がへこむなどの変形が生じ、切り出しが難しくなることがあります。また、網膜がはがれるアーティファクトがおこることがあります。
  • ダビッドソン固定
    固定により組織が固くなるため、ホルマリンで見られるような変形によるアーティファクトがありません。網膜の観察に向いています。免疫組織染色にも向いていますが、電子顕微鏡観察には向いていません。白濁するので、肉眼写真を見る際には注意が必要です。病院で1~2日固定後、ホルマリンかアルコールに入れて提出してください。
  • ブアン固定
    固定により組織が固くなるため、ホルマリンで見られるような変形によるアーティファクトがありません。網膜の観察に向いています。免疫組織染色にも向いていますが、電子顕微鏡観察には向いていません。固定後に、組織は黄色く濁るので、肉眼写真撮影には向いていません。固定後(3-12時間)は、1日ほど水洗し、70%エタノールに移して提出してください。

ホルマリン以外の固定法を用いた場合は、固定液を依頼書に明記してください。